民泊は、ダメ、ゼッタイ?
身元・目的・犯罪防止がカギに
民泊に関する意識調査
この調査結果はリサーチコムがメディアに発表したオリジナル調査です。
本調査へのリンクはフリーです。データを転載・引用する場合は、リサーチコムの調査であることを明記してください。
ジャーナリスト・山田遣人
~ 調査の詳細 ~
自動音声による世論調査、市場調査を手がけるリサーチコムの電話調査で、「民泊」に対するシニア層の大きな不安感が改めて浮き彫りとなりました。「民泊」とは、マンションや民家の空き室に旅行者を有料で泊める制度で、6月には全国で解禁される見通しです。
日本中に広がっている空室や空き家の有効利用に繋がるとの期待も大きいですが、それ以上に、知らない人や目的不明の利用に対する根強い警戒心が、まだまだ拭い切れていない現状が浮かび上がってきました。
欧米では事業として大成功を収めているこの民泊。果たして日本に根づくのでしょうか。今回はシニア世代の民泊意識を探ってみました。
調査実施日:2018.03.04(日)
調査概要:民泊に対する認識や賛否などについて
調査地域:全国
有効回答数:562
設問数:4問
調査対象(コール数):15,005
有効回答率:3.7%
<第1問 民泊解禁についてどう思いますか?>3人に1人がよく分からない――。この結果にシニア層のホンネの全てが集約されているように思えます。 「民泊」と聞いたときに、何となく分かるような気がするものの、その実態はと具体的に聞かれれば、多くの方々はやはり「よく分からない」というのが正直なところではないでしょうか。 強く賛成ないし反対の回答をされた方々以外の回答を合わせると、実に76%超もの層が態度を決めかねている…そのようにも見て取れます。 一方で、「どちらかというと反対」と「反対」を合わせると、反対派は4割以上にのぼり、いまだ根強い警戒心が露わになっていると言えるでしょう。
<第2問 空き家や空き室を民泊に活用したいと思いますか?>自身が「事業者」になった場合の「民泊」の捉え方について、何らかの「活用をしたい」と考えている層はわずか13%程度に止まりました。そもそも空き家や空き室を所有していないと回答した層が37.3%いたことを差し引いても、あまり高い数字とは言えなさそうです。 一方、民泊に活用したくないと考える層は半数に迫る勢いで、ここでも民泊に対する強いアレルギーが透けて見えます。3人に1人がよく分からないと回答している中で、活用否定派が50%に迫るという結果は、「よく分からないものには手を出したくない」という、シニア層に多く見られる保守的な気持ちが素直に現れているのかも知れません。
<第3問 民泊に賛成の方は賛成の理由をお答えください。>ここでも、民泊賛成の理由として「空き家対策になる」「経済効果がある」といった好影響を認める声がありつつも、「反対」派の声は6割に迫ります。一方、「雇用が生まれる」という点に着目した方々が1割程度いることも、現在のシニア層の苦しい雇用環境を反映しているのかも知れません。この点は大変興味深い結果が出ています。
<第4問 民泊に反対の方は反対の理由をお答えください。>それでは、反対派の理由は何かと見てくると、「知らない人」「犯罪」「目的不明」という点に集約されそうです。 よく知らない人が何の目的かも分からず泊まるので犯罪が心配――。 一口に言えばそういうことになるのでしょうか。逆を言えば、キチンとした身元の人が、目的を明らかにして泊まる分には問題がない、とも受け取れそうです。民泊制度が成功するか否かは、日本の多くの不動産を占めると考えられるシニア層に、この部分をいかにコミットするか…にかかっているのかも知れません。 これまでの調査結果から、民泊制度に対するシニア層の頑強な警戒心、不安感などが改めて浮き彫りになりました。しかしそれは、未知のものへの本能的な警戒、拒否反応にすぎないのかも知れません。制度の枠組みをキチンと決め、正確な情報の提供が担保されるようになれば、「民泊」が日本に根づく日も、そう遠いことではないと言えるでしょう。
<性別>
男性 | 294件 | 44.7% |
女性 | 364件 | 55.3% |
<年代>
80歳以上 | 147件 | 22.8% |
70代 | 205件 | 31.8% |
60代 | 181件 | 28.1% |
50代 | 80件 | 12.4% |
40代 | 22件 | 3.4% |
30代 | 5件 | 0.8% |
10代または20代 | 4件 | 0.6% |